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第 341 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年1月24日]
症例1 30歳代 女性 : 左視力低下、左眼瞼下垂
リンパ球性下垂体炎
lymphocytic hypophysitis

 

 鑑別診断

1.下垂体卒中:梗塞・出血はなく否定できる。
2.下垂体腺腫:早期から造影効果が均一に強い点、腫瘍と下垂体の境界が明らかでない点が非典型的。
3.リンパ球性下垂体炎:病変が大きいがそのほかの点は合致する。蝶形骨洞の粘膜肥厚も合致。
 →リンパ球性下垂体炎が最も考えられたが、視神経圧迫症状があるため手術の方針となった。

 

 リンパ球性下垂体炎

・若い女性で妊娠後期〜産褥期の発症が多い。このほかの年齢や男性でも発症する。橋本病やSLEなど自己免疫疾患が合併していることがある。
・リンパ球性下垂体前葉炎、リンパ球性漏斗下垂体後葉炎、リンパ球性汎下垂体炎に大別される。
・CT,MRI では前葉や後葉・下垂体柄の対称性腫大。強い造影効果。線維化してくるとT2WI 低信号で造影効果は弱まる(Parasellar T2 dark sign 1)
・隣接する硬膜や蝶形骨洞粘膜の肥厚を伴う。
・まれに嚢胞変性してrim 状に造影される。
・内頚動脈を狭窄・閉塞することがある。
・鑑別としてpituitary hyperplasia がある。

 Take home message

妊娠末期〜産褥期の女性の下垂体病変で、出血が明らかでなく、均一に強く造影される場合にはリ
ンパ球性下垂体炎を考慮する。

 

参考文献
・Nakata, Y., et al., Parasellar T2 dark sign on MR imaging in patients with lymphocytic hypophysitis. AJNR Am J Neuroradiol. 31(10): p. 1944-50.

 


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