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第 341 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年1月24日]
症例7 0歳代 女性 : 右膝痛
リー・フラウメニ症候群
Li-Fraumeni synd


骨腫瘍(Osteosarcoma)+肝腫瘍(Transitional liver cell tumor 〜 HCC)
 → 過度に若年の重複癌のため遺伝子検査を施行し、TP53のmissense mutationを検出。
 
 Li-Fraumeni syndrome リ・フラウメニ症候群

・SBLA Syndrome(Sarcoma, Breast, Leukemia, and Adrenal Gland)
・hereditary tumor syndromes of the nervous system(遺伝性神経系腫瘍症候群)
 

臨床診断基準:
【classic Li-Fraumeni syndrome (LFS) 】
・発端者が45歳未満に肉腫と診断され,かつ
・一度近親者に45 歳未満に診断された癌患者がおり,かつ
・一度もしくは二度近親者に45 歳未満の癌患者あるいは年齢を問わない肉腫患者がいる.

【Li-Fraumeni-like (LFL) syndrome】
・発端者が小児癌もしくは肉腫脳腫瘍副腎皮質癌45歳未満で診断され,かつ
・一度もしくは二度近親者に年齢を問わない典型的なLFS 癌
肉腫乳癌脳腫瘍副腎皮質癌,または白血病)を有する患者がおり,かつ
・一度もしくは二度近親者に60 歳未満で診断された癌患者がいる.
・一度もしくは二度近親者の2 人に,年齢を問わずLFS 関連悪性腫瘍を有する患者がいる.

TP53遺伝子の生殖細胞系列変異があればLFS やLFL の診断は確定する。
・後天的、体細胞系列のTP53 遺伝子変異は様々な腫瘍で認められるが、生殖細胞系列変異に関与
する遺伝性の臨床病態は他には知られていない。
・臨床診断された患者の70%以上で原因遺伝子TP53に変異(+)
・CHEK2 遺伝子は、LFS がありTP53 変異が同定されない一部の家系で変異があると当初報告さ
れたが、その後の解析により否定された
 
 

鑑別疾患

鑑別疾患としてLFSをあげるべき特徴
➀LFS 関連悪性腫瘍
・肉腫――軟部組織:横紋筋肉腫、脂肪肉腫など、骨:骨肉腫、軟骨肉腫など
*ユーイング肉腫は例外
・閉経前乳癌
・脳腫瘍――星状細胞腫、膠芽腫、髄芽腫、脈絡叢癌
・副腎皮質癌ACC
・脈絡叢腫瘍CPC

➁過度の若年性癌

・LFS 関連の悪性腫瘍の50%が30 歳までに発症すると推定される。
・TP53 変異を有する患者の診断年齢の中央値は25 歳であったとする報告。
・TP53 変異(+)で大腸癌を発症した患者6 名中4 名は21 歳未満で発症との報告。

➂過度の多発性原発癌

・LFS 患者が2 種の癌を発症するリスクは57%。3 種の癌を発症するリスクは38%と推測されている。
・ LFS の5 家系の研究では年齢別の癌発症リスクは0−16 歳で42%、17−45 歳で38%、45歳以降で63%)。生涯の癌発症リスクは85%と計算された。
 

TP53遺伝子の異常を有する患者は、放射線による二次性悪性腫瘍の合併が知られており、可能な限り放射線被曝を回避する必要がある。また、発癌性物質への暴露や喫煙も癌発症のリスクが高くなるため回避するか最小限にすることが推奨されている。

 

参考文献
・Li FP, Fraumeni JF, Mulvihill JJ, Blattner WA, Dreyfus MG, Tucker MA, Miller RW. A cancer family syndrome in twenty-four kindreds. Cancer Res. 1988;48:5358−62.
・5.Birch JM, Hartley AL, Tricker K, Prosser J, Condie A, Kelsey A, Harries M, Jones P,Binchy A, Crowther D, Craft A, Eden O, Evans D, Thompson E, Mann J, Martin J, Mitchell E,Santibanez-Koref M. Prevalence and diversity of constitutional mutations in the p53 geneamong 21 Li-Fraumeni families. Cancer Res. 1994;54:1298−304.

 


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