肝濾胞性リンパ腫
follicular lymphoma of the liver |
超音波所見 |
・比較的明瞭な低エコー腫瘤
・後方エコー増強軽度?
CT所見 |
・HCCで問題なさそうな造影パターン
MRI所見 |
・Gd-EOB-DTPA肝細胞相は欠損
・多発病変がいずれもT2強調像で明瞭な高信号
・腫瘍内に微小嚢胞形成?
・DWIでもすべての病変が明瞭な高信号、かつ低ADC
・脂肪含有はあきらかでない
当院での診断 |
US、CTの時点
─ 多発HCCとして治療方針決定のためGd-EOB-DTPA造影MRIを
MRI施行後
─通常のHCCとしてはT2WIとDWIの信号が高すぎる
─ 鑑別診断として考えたもの
・HCC with neuroendocrine differentiation:全病変が? という疑問 均一すぎる
・pseudoglandular HCC:嚢胞構造はOKだがUSが高エコーでない DWIは説明つかない
・NETの転移:原発巣は? →検索でみつからず
・悪性リンパ腫:嚢胞構造は? DWI所見はよく合う
その後の経過
・肝腫瘍生検にてcentrocyte類似の中型リンパ球増殖
・免疫染色にてCD3-, CD5-, CD10+, CD20+, Bcl-2+, Bcl-6+
診断:肝悪性リンパ腫 (follicular lymphoma grade 1))
肝悪性リンパ腫 |
・肝のみに病変がみられる症例は少ないが、悪性リンパ腫病変が肝に浸潤すること自体は珍しくない
・肝腫大、びまん性浸潤を呈することも、結節を形成することも、混在することもある
・HCV感染はHCCのみでなく、悪性リンパ腫のリスクも上昇させる
・細胞密度の高さのためT2WIの信号は低いものもあるが、背景の肝が低信号のためか文献的には基本的に高信号と報告されている
・HCCよりは通常高信号
・早期増強効果のあるものもないものもある
・全身あらゆる部位でDWI高信号、ADC低値と知られている
診断後のFDG-PET |
・肝腫瘍以外には右肩甲骨、傍大動脈リンパ節が高集積(骨髄穿刺も陽性)
・腸間膜も一連の病変かもしれない (が、確証なし)
参考文献
・Weissleder R et al. Magnetic Resonance Imaging 6(6), 675-681, 1988
・Lee WK et al. AJR 191, 198-206, 2008
・Kelekis N et al. Magnetic Resonance Imaging 15(6), 625-636, 1997.
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