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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第342回症例症例:呈示
第 342 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年2月28日]
症例7 60歳代 男性
断端神経腫(胆嚢摘出術後)
amputation neuroma following cholecystectomy

 

 画像所見のまとめ

生検

胆嚢摘出術後より、胆嚢管断端部付近に増強される腫瘤が出現し、スライスのずれはあるが、緩徐な増大傾向が疑われる

 

 病理所見

病理

・胆管に接して腫大した神経組織からなる硬い腫瘤あり
・近傍に縫合糸とそれに対する異物肉芽腫あり

 

 断端神経腫について

腫瘍類似性疾患(真の腫瘍ではない)
・末梢神経の切断、断裂後に中枢側断端が過剰に再生し、結節を形成したもの
・胆道系では、胆管周囲神経線維の切断などによる

頻度
・胆道系手術症例の0.1〜0.28%に認める
・本邦では、これまでに約70例の報告あり

発生部位
総胆管、胆嚢管、胆嚢の順に多い

症状 腹痛、黄疸

誘因
手術操作(90%以上)
  ー胆嚢摘出術、総胆管手術、胃癌のリンパ節郭清など
  ー手術から発生まで平均11.6年(2ヶ月〜37年)
胆石症
手術、胆石症の既往の無い症例は極めて稀


 断端神経腫の画像所見

CT
・単純にて筋肉より低吸収で、造影にて増強される
・最大径は平均15.6o(7〜50o)

CT


胆道造影、MRCP
・一側性の辺縁平滑な圧排像(粘膜下主体の病変)
・胆管狭窄または閉塞、上流側の拡張

造影


IDUS(intraductal ultrasonography)
・術前診断に有用であるとの報告あり

IDUS
左<腹部US>/右<IDUS>

 

 断端神経腫

治療
・局所切除、胆管空腸吻合術
・胆管ステント挿入術

術前診断:困難な場合あり
・胆管癌の診断で、膵頭十二指腸切除術のような過大な手術が行われた症例もある
・過大な手術を避けるため、術前に鑑別に挙げることや術中迅速組織診が重要

 

 Take home message

断端神経腫を考慮する所見

・胆道系手術、肝十二指腸靭帯に操作が及ぶ手術の既往があり、術後長時間経過している
・粘膜下が主体の病変を思わせる画像所見      (総胆管の一側性の管外性圧排、辺縁平滑)
・積極的に悪性を示唆する身体、検査所見に乏しい

 

参考文献
・日外臨会誌 2004:65:1031-1035/Transplant Proc. 2009;41(3):1054-1056
・G chir 2006:27:31−36
・胆と膵 2002: 23(臨時増刊): 971〜975/画像診断別冊 肝胆膵の画像診断
・Abdom Imaging.2008;33:560-562/画像診断別冊 肝胆膵の画像診断.
・Abdom Imaging. 2001;26(6):632-4.


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Moderator: 石松 慶祐