ウェステルマン肺吸虫症 plumonary paragonimiasis westermani |
VATSにて右肺下葉の病変より生検 |
生検検体の弱拡大像(HE染色)
左図の矢印部分の強拡大像
また、血清の抗ウェステルマン肺吸虫抗体が強陽性
診断:肺吸虫症(ウェステルマン肺吸虫)
肺吸虫症 |
・日本では主にウェステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫
・ウェステルマン肺吸虫の3倍体個体は、別種のベルツ肺吸虫として扱うこともある
・第2中間宿主の淡水産カニ(モクズガニ、サワガニ)またはこれらを摂食したイノシシの生肉の食歴
・血痰(暗赤色)、胸痛など
・血中好酸球、IgEの上昇
・生検検体やBALなどでの虫体や虫卵の証明
・血清や胸水中の寄生虫抗体価の上昇
・治療はプラジカンテル(吸虫駆除剤)
(人体への移行経路)
・淡水産カニに寄生するメタセルカリアを経口摂取
・メタセルカリアが小腸内で脱嚢し、腸粘膜に侵入
・腹腔内に穿通し、腹壁筋内に侵入
・腹腔内に再度侵入し、横隔膜を穿通して胸腔内へ
・肺実質に侵入して、定住し成虫となる
・肺内で虫嚢を形成、その中で成熟して産卵
(CT所見)
・胸膜肥厚(青矢印)、胸水貯留
・胸膜と連続する斑状影、結節(オレンジ矢印)
・低吸収の嚢胞(黄矢印)、空洞形成→虫嚢に相当
・肺内構造と無関係な管状構造(オレンジ円内)→虫道に相当
・経時的に移動する陰影
治療前 | 治療後 | |
プラジカンテル 4200mg/日×3日にて治療 |
Take Home Message |
・胸膜と連続する陰影 肺内構造と無関係な管状構造
→ 肺吸虫症に特徴的なCT所見である
・これらの陰影を認めた場合は、食歴の確認、抗寄生虫抗体価の測定を勧める
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