casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第353回症例症例:呈示
第 353 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年6月26日]
症例5 30歳代 男性
ヘルマンスキー パドラック症候群
Hermansky-Pudlak syndrome

 

症状として:弱視(マッサージ師)、出血傾向、アルビノがありました。

血小板電子顕微鏡検査所見

・濃染顆粒密度の低下
・血小板内に単一あるいは複数のempty sacあり

 

診断: ヘルマンスキー・パドラック症候群 (Hermansky-Pudlak syndrome)

 

Hermansky-Pudlak Syndrome

@アルビノ
A血小板機能異常による出血傾向
Bセロイド様顆粒を貪食したマクロファージ

・常染色体劣性遺伝で保因者は1/200人〜1/500人・・・出生頻度:1/50万人〜1/100万人
  ※プエルトリコ人での保因者は1/20人、出生頻度1/640人
・約60%に肺線維症の合併(20〜40代で発症)
・15〜20%にクローン病類似の消化器症状(肉芽腫性大腸炎)
・ステロイドに対する反応は不良で予後不良
・鼻出血などで発見され、心疾患、腎疾患、弱視を合併する

・胸部単純写真
IPF/UIPに比べて、下肺野優位性はあまりなく、分布が全肺に及ぶのが特徴

・HRCT
小葉間隔壁肥厚、気管支肺動脈肥厚、traction bronchiectasis、あまり目立たないスリガラス影など。内側域に変化が強く、胸膜直下はspareされることが多い。嚢胞壁がやや厚く見られることがある。

・DDx.(嚢胞変性、間質性陰影をきたすもの)
 ・特発性肺線維症 (分布が下肺野、胸膜直下優位)
 ・肺気腫 (嚢胞壁が乏しい〜薄い)
 ・リンパ脈管筋腫症 (嚢胞壁が薄い、女性)
 ・Langerhans細胞組織球症 (上肺野優位)

・治療: 止血治療(アスピリン、ロキソニン禁忌) 肺移植

・診断確定には電子顕微鏡による血小板濃染顆粒の有無をチェックする

 

 

◀ 症例提示へ戻る  
Moderator: 丹野 啓介