血管内悪性リンパ腫 intravascular lymphoma |
画像所見のまとめ |
脊髄円錐
腫大
T2WI にて灰白質・白質にまたがる高信号域
一部に淡い造影増強効果あり
神経根・馬尾
前根・後根ともに造影増強効果あり
鑑別診断 |
炎症:Sjögren syndrome, SLE, Sarcoidosis, Atopic myelitis
腫瘍:Intravascular Lymphoma, Metastatic tumor
血管:Spinal cord infarction
脱髄:ADEM, NMO, MS
当初は Sjögren症候群などを原因とした脊髄炎が疑われた
第2病日よりステロイドパルスを施行⇒ 症状は一部軽快するも残存していた
第32病日の採血にて sIL-2R 3700 U/ml と上昇した
ランダム皮膚生検を施行
⇒真皮浅層〜中層に大小の血管増生
血管内腔に異型単核細胞が浸潤
B 細胞系のマーカー (CD20, CD79a) が陽性
⇒血管内悪性リンパ腫と診断された
R-CHOP x 6コース後 | |
T2WI / Gd-FS-T1WI | T2WI / FS-T1WI / Gd-FS-T1WI |
sIL-2R は448 U/ml まで低下 運動・感覚障害は残存あるが改善傾向 |
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R-CHOP 開始前の頭部MRI (FLAIR / DWI) |
R-CHOP x 6コース後 (FLAIR) |
Intravascular Lymphoma (IVL) |
・中・小血管内への腫瘍性 B細胞の浸潤・増殖
・一次リンパ組織(骨髄、胸腺)でリンパ球を産生 ⇒ 血流を介して二次リンパ組織へ(脾臓、リンパ節、パイエル板)
年齢:中高齢者(中央値は60-70歳代)
性差:なし
症状:不明熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、多彩な神経症状
浸潤臓器:中枢神経、皮膚、肺、腎臓、肝・脾、骨髄、前立腺など。リンパ節腫大や腫瘤形成は稀
検査:LDH, sIL-2R, β2-MG の上昇、貧血など血球減少、髄液検査では蛋白細胞解離
【画像所見:脊髄】
・脊髄円錐を侵すことが多い
・新旧混在する壊死病変 ⇒ 新たな病巣は浮腫、陳旧性病巣は嚢胞化
・血管支配域に一致せず、灰白質・白質を区別しない
・造影増強効果は、髄内病変はさまざま
神経根は前根・後根の双方にあり
くも膜下腔や脊髄実質内の小血管にリンパ腫細胞が充満 |
【画像所見:脳】
・進行性・多発性・左右非対称性の小梗塞
脊髄症発症後、平均7か月後に大脳半球障害が出現する
A.Yamamoto, et al. AJNR 2012; 33: 292-6
・Infarct-like lesions
・Nonspecific white matter lesions
・Meningeal enhancement
・Mass-like lesions
・Hyperintense lesions in the pons on T2WI
肺(第329回 TRC)
・GGO、間質の肥厚
・盲目的にTBLBを施行し、診断を得る事もある
腎臓
・両腎の多発する低吸収域
皮膚
・四肢・体幹に多発する
・紅斑、蜂窩織炎、潰瘍性結節など多彩
・ランダム皮膚生検の有効性を示す報告は多い
Take Home Points |
・中〜高齢者に、進行性に脳・脊髄に複数の病変を呈する
・IVL の脊髄病変
髄内では、灰白質・白質を区別しない T2 延長域
神経根・馬尾では、前根・後根の双方に造影増強効果
・IVL の脳病変
経過中に遅れて発生することが少なくない
画像所見は 5つのパターンが報告されている
参考文献
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