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第 356 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年11月27日]
症例3 50歳代 女性 : 下腹部違和感
静脈原発平滑筋肉種
primary venous leiomyosarcoma


 静脈原発平滑筋腫

・静脈原発の平滑筋腫は極めて稀であり、これまでに9例の報告しかない。
・部位:腎静脈 (2例)、大伏在静脈(2例)、内頸静脈、肺静脈、総腸骨静脈、大静脈、大腿静脈
・年齢は50代(30代〜70代)が多く、男性2名、女性7名。
・腫瘍の大きさは長径3〜9cm(平均4.9cm)である。

画像所見
・静脈との連続性に気づくことが重要。進展範囲の評価などにCTのMPR画像やMRIが有用。
・充実部の造影効果は強いが、壊死や変性がおこりやすく、内部の性状は不均一。
・T2WIでは筋肉の信号よりは高い。壊死や変性といった内部性状を反映し、信号強度は不均一。
・FDG-PETの集積は強い。
・しかし静脈原発平滑筋腫との鑑別は困難

治療や予後(症例の多い下大静脈原発を参照)
・腫瘍の完全切除が第一選択だが、予後は悪い(平均生存期間 56ヶ月)。
・切除不能例や術後補助療法として化学療法や放射線治療、ホルモン療法が施行されているが、その有用性は確立されていない。
・完全切除しても局所再発率が約50%との報告もある。
・肝や肺への血行性転移が多い。

 

 Take Home Message

・静脈由来の平滑筋肉腫の症例を報告した。
・画像検査にて静脈との連続性を捉えることが、腫瘍の由来推定に重要であった。
・平滑筋肉腫と平滑筋腫の画像での鑑別は困難であるが、静脈原発性腫瘍では、前者の方が圧倒的に頻度が高い。


 



 参考文献

・Kulaylat MN, et al. Journal of Surgical Oncology. 1997;65:205-217
・Tsuyoshi H, et al. J.Obset. Gynacol. Res. 2012;38:466-470
・Cho HJ, et al. Korean J Radiol. 2008;9:S14-17
・Xu L, et al. Ann Vasc Surg. 2014;28:1792.e5-9
・Kumar S, et al. J Clin Imaging. Sci. 2014;31;4:42
・Narata M, et al. Abdom Imaging. 2010;35:481-484
・Ganeshalingam S, et al. Clin Radiol. 2011;66:50-56
・Webb EM, et al. AJR Am J Roentgenol. 2013;200:205-209
・Mckenna LR, et al. J Surg Case Rep. 2014 Sep 8;2014(9). pii: rju090


 


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