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第 359 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年4月23日]
症例7 30 歳代 女性 : 腹部腫瘤の触知
充実性偽乳頭腫瘍
solid-pseudopapillary neoplasm


 Solid-pseudopapillary neoplasm

・分化方向の不明な上皮性腫瘍 ( 偽乳頭状の増殖 )
・膵非内分泌腫瘍の 1-2 %
・若年女性に好発、膵尾部に多い
・予後は良好だが、稀に悪性例や再発例もある ( malignant potential )
・境界明瞭、内部不均一 ( 出血や壊死の程度による ) 、粗大腫瘤
・石灰化 ( 30-40 % )

◆ 可動性を有した Solid-pseudopapillary neoplasm

Year Author Case Location  
1993 Hujise 13F Ectopic pancreas of the mesentery  
1995 Nusya 12F Body  
2014 Minami 50代F Body 第350回 TRC
2014 Takahashi 10F Head  
2015 Our case 30代F Tail 第359回 TRC

TRC = 東京レントゲンカンファレンス

◆ この他にも adenocarcinoma, acinar cell carcinoma, mucinous cystic neoplasm, serous cystic neoplasm, neuroendocrine tumor など報告散見

医中誌より「可動性」と「膵腫瘍」で検索

 

◆ 実際・・・
仰臥位で大動脈右側にあった膵頭部が、左側臥位で大動脈左側に移動することを 120 例中 45 例に認めたという報告もある。Morgan RA et al. Clinical Radiology 1992; 45: 88-91

◆可動性を有した原因
●先天的固定異常
●後天的固定異常
加齢
腫瘍の増大
急激な体重減少⇒膵周囲組織の脆弱化
Morgan RA et al. Clinical Radiology 1992; 45: 88-91
伊在井淳子ら. 膵臓 2005; 20: 114-118

Conclusion
◆ 可動性を有した Solid pseudopapillary neoplasm の一例を経験した
◆ 可動性の腹部腫瘤の鑑別として膵腫瘍も念頭におく必要がある
◆ 可動性の原因として組織の脆弱性が関与している可能性がある

 


参考文献

  • Morfan RA et al . Clinical Radiology 1992; 45: 88-91
  • 伊在井淳子ら.膵臓 2005; 20: 114-118
  • 第350 回東京レントゲンカンファレンス症例1 南康大先生

 


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