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| 画像所見 | 
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| ・嚢胞成分を伴うT2WIで比較的均一な高信号を示す充実性腫瘍 ・腫瘤周囲には、T2WIで低信号を示し、造影効果を伴う厚い皮膜様構造を全周性に認め、特に左側で目立つ(矢印) ・充実部に拡散低下および造影効果を認める | 
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| ・腫瘤内部にもT2WIで低信号を示す隔壁様構造あり(矢印) ・周囲の被膜様構造と連続して見られる ・頭背側腫瘤内部にもT2WIでの低信号域を認める(矢頭) | ・T2WIでは子宮内膜は不明瞭だが、CE-FST1WIで頸管と連続して子宮内膜と考えられる線状造影効果を認める(矢印) | 
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| ・両側卵巣静脈に拡張を認め(矢印)、両側とも腫瘤と連続している ・両側卵巣は同定困難 | 
| 鑑別診断 | 
・子宮由来腫瘍>>卵巣由来腫瘍
   ▶T2WIで子宮体部内膜信号が不明瞭
   ▶子宮頸部から連続する厚い被膜様構造=体部筋層?
   ▶両側卵巣静脈の拡張・腫瘤との連続性は見られるが、明らかな左右差なし
  
・子宮筋層または間質>内膜
   ▶腫瘤内にも被膜様構造と類似する隔壁=取り残された筋層?
   ▶変性子宮筋層内筋腫(富細胞性)
   ▶子宮内膜間質肉腫
   ▶子宮肉腫
   ▶子宮癌肉腫
   ▶Malignant  mixed  epithelial  and mesenchymal  tumor(MMMT)
| 病理所見 | 
| (肉眼像) | 
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| ・子宮体部後壁を中心として赤褐色調充実部と嚢胞が混在する腫瘤を認める ・子宮内膜の同定は困難。両側卵巣に異常なし | 
| (組織像) | |
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| ・N/C比が高い髄様間葉系腫瘍細胞で、細胞密度は高い。 核分裂像は低い(2/20 HPF)。CD10陽性。ASMA陰性。 腫瘍組織間に平滑筋を認める。 | ASMA:alpha-smooth muscle actin | 
最終診断:子宮内膜間質肉腫(低悪性度)Endometrial stromal sarcoma(low grade)
| 子宮内膜間質肉腫 | 
・全子宮腫瘍の0.2%。全子宮肉腫の7~15%。
  ・増殖期内膜間質に類似 した間質細胞の浸潤性の増生からなる悪性腫瘍(CD10陽性平滑筋マーカー#陰性)。
  #e.g.: alpha-smooth muscle actin, h-caldesmon, desmin, HDAC8
  ・分類/好発年齢
   ▶Low grade:35〜 42歳
   ▶High grade:50〜 60歳
WHO2014 新分類
  ・Endometrial stromal nodule:筋層、リンパ管浸潤なし
  ・Low grade ESS:浸潤あり
  ・High grade ESS*
  ・Undifferentiated endometrial sarcoma*
  *ただしHigh-grade ESSとUESとの形態学的な鑑別は困難。
  Ali RA. J Clin Pathol 2015; 68: 325-332 
・MRIではT2WIで高信号を示し、内膜肥厚病変やポリープ状病変として描出される。
  ・内膜から発生した腫瘍細胞が筋層間を分け入るよう浸潤するworm likeな浸潤が特徴。
  ・筋層浸潤している症例では筋層との境界は不明瞭で、浸潤部に取り残された正常の筋束がT2WIで索状低信号域として描出されることがある。
  ・造影後は豊富な血管増生を反映して子宮筋層よりも強い造影効果を示すとこが多い。
  Santos P. Diagn Interv Radiol 2015; 21:4–9
・DWIが肉腫診断および浸潤評価に有用と報告されている。Fujii S. J Comput Assist Tomogr 2010; 34: 377-379
  ・嚢胞化を伴うことは稀とされるが、国内外で複数の症例報告がある。嚢胞成分は拡張した内膜腺を反映していると考えられ、悪性卵巣腫瘍と誤診される場合もある。
参考文献
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