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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第359回症例症例:呈示
第 359 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年4月23日]
症例6 50歳代 男性
腎結核性肉芽腫
renal tuberculous granuloma

 

 所見のまとめ

・右腎に多発する境界不明瞭な造影不良域
・腎杯構造が保たれている
・6ヶ月後 やや増大から著変なし
・膀胱癌に対しTURBT4回

 

 鑑別診断
 
・腎梗塞
・Bellini管癌
・浸潤性尿路上皮癌
・腎結核性肉芽腫
 

診断:腎結核性肉芽腫(BCG膀胱内注入療法後)


 BCG膀胱内注入療法

・筋層非浸潤性膀胱癌の治療や再発予防目的。有効性は確立。
膀胱癌診療ガイドライン2009年版. 12-39, 2009
<副作用>
一般的;膀胱刺激症状、血膿尿、発熱
まれ;肉芽腫性炎症性前立腺腫瘤 0.9%
   肉芽腫性炎症性腎腫瘤   0.1%
   精巣上体炎、肝障害、間質性肺炎、敗血症など
Donald L et al, J Urol 147:596-600, 1992
沼尾昇ほか, 泌尿器科紀要 46:109-111, 2000

 

 腎結核性肉芽腫

・機序:➀VURによる直接波及、➁血行性

<特徴>
・腎杯構造は比較的保たれる
・“the central unaffected calyx sign”
Senes AT et al, Br J Radiol 80:e230-233, 2007•
・膀胱病変と同側(VUR側)、多発する
Ma W et al, AJR 192:1494-1500, 2009
Stanisic TH et al, J Urol 135:356-358, 1986
・尿路より腎実質に向かって等方向性に進展する
堀内沙矢ほか, 臨床放射線 59:854-858, 2014

悪性腫瘍との鑑別点  
浸潤性尿路上皮癌: 皮質が比較的保たれる
腎杯・腎盂・尿管へ浸潤
リンパ節転移など
膀胱癌の既往
腎結核性肉芽腫:

BCG膀胱内注入療法後
腎杯構造は比較的保たれる
VUR側、多発  

9ヶ月/15ヶ月/30ヶ月
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 結語

・膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法後には、結核性肉芽腫の出現に留意する

 



 

参考文献

  • 沼尾昇ほか, 泌尿器科紀要 46:109-111, 2000
  • Senes AT et al, Br J Radiol 80:e230-233, 2007
  • Ma W et al, AJR 192:1494-1500, 2009
  • Stanisic TH et al, J Urol 135:356-358, 1986
  • 堀内沙矢ほか, 臨床放射線 59:854-858, 2014


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Moderator: 和田 慎司