硬膜転移 dural metastases |
画像所見 |
拡散強調像 ADC 一部ADC低下を伴うDWI高信号域 |
Single voxel proton MRS PRESS enhanced area Short TE(TR/TE 1500/35ms) Intermediate TE (1500/144ms) |
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lipid peak(及びCholine peak)の著明な上昇 Alanine peakなし Cr,NAAの低下. 髄膜腫とは異なる波形 |
右外頚動脈造影 側面像 後耳介動脈を介して病変は造影されるが所謂sunburst様ではない |
右内頚動脈造影 側面像
無血管野の辺縁に 僅かに造影される部位あり |
脳実質内及び実質外病変の鑑別
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脳実質外病変を示唆する所見を列記
本症例
・隣接する脳実質との間に皮質を認める×
・脳と腫瘍との境界が平滑で明瞭×
・脳実質と腫瘍との間に脳脊髄腔や内部血管を認める×
・Dural tail enhancement○
・腫瘍が硬膜枝から栄養○
ただし内頚動脈系からも造影
・White matter buckling△
・隣接した骨に骨破壊や骨肥厚、信号変化×
・腫瘍周囲の脳脊髄腔の拡張?
脳実質外腫瘤の鑑別
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髄膜腫
Solitary fibrous tumor/ hemangiopericytoma
髄外造血
悪性リンパ腫
硬膜転移
肉芽腫性病変 等
MRS参考画像 | |
比較的典型的な髄膜腫のMRS所見 SV PRESS法 下段 short TE 1500/35ms コリンピークの上昇:黄➡ アラニンピーク出現:青➡ Lipid:白➡ |
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主腫瘤(上面は硬膜部) 硬膜 | |
硬膜側と連続し硬膜から内側に広基性の腫瘍 病変の主座は脳実質外膜側 |
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硬膜+壁在結節様部 | 右中葉に腫瘤、生検にて未分化腺癌 |
Pleomorphicな癌腫+炎症性肉芽組織 |
解答
肺癌(未分化腺癌)の硬膜転移及び脳実質内浸潤
Intracarnial dural metastases
経過
術後4か月のMRI画像にて脳実質及び病巣部より若干離れた硬膜部に残存病変の再増大を認め放射線治療及び化学療法が追加された。
硬膜転移
dural metastases |
硬膜転移:全癌autopsy caseの9〜10%
56%単発転移
原発の頻度:
乳癌(34%)>前立腺(17%)>肺(13%)
骨転移から直接進展(61%)>血行性(33%)、
他術後播種等
画像:
metastases of overlying skull70%
Dural tail sign44% Vasogenic edema 53%
Brain invasion34% 83%active systemic disease
Take home message
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@腫瘍が脳実質内か実質外かの鑑別法については多数報告あり。しかし実質内腫瘍の外方発育や、実質外腫瘍の実質内浸潤等、病変が脳実質内外に及ぶ時に病変の主座及び質的診断が困難な時があり本症例を呈示。
A硬膜転移は、剖検報告も含め一定頻度で存在し、実質側への浸潤もあり得、実質外腫瘍の鑑別として重要。
BMRSが質的診断に役立つこともある。
参考文献
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