異型性髄膜腫 atypical meningioma |
鑑別診断
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・転移性腫瘍(硬膜転移、骨転移)
・髄膜腫(頭蓋骨外進展を伴う)
・孤立性線維性腫瘍(SFT; solitary fibrous tumor)
Key images |
経過 |
・全身のCTで乳癌も疑われ、頭蓋骨転移が疑われた。
・頭部腫瘤に対して、手術施行。
・手術所見)
頭蓋骨は破壊されここから硬膜外腫瘍を認めた。腫瘍を摘出すると、硬膜は保たれ腫瘍が直接硬膜を破り浸潤していることはなかった。硬膜を切開し内部を観察すると脳表を押すように硬膜から発生した腫瘍が存在していた。
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手術検体
病理標本
最終診断
Atypical meningioma
Meningioma
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・Arachnoid cap cellから発生。
・中年〜高齢の女性に好発。
・WHOでは、悪性度により gradeT〜Vに分類
Meningioma | WHO grade |
低悪性群 | T |
中間異型度群 | U |
高異型度群 | V |
・ほとんどは良性で、grade Tに分類される。
・Atypical meningiomaは grade Uに分類。
Atypical meningioma |
・髄膜腫の5−7%
・頭蓋外進展をきたした髄膜腫は組織学的に悪性に多い。
(⇔組織学的に良性だった髄膜腫が頭蓋骨外に進展していた症例報告は数えるほど)
・骨融解像を伴った髄膜腫は悪性を疑う必要がある。
・Meningiomaの典型的所見
Plain CT:hyperdense
T1WI:iso- or hypointense, T2WI:iso- or hyperintense
Homogeneous enhancement(+)
・非典型的所見
cystic, necrotic, fatty changes: about 15% of all meningiomas
・頭蓋骨の溶骨性病変で最もcommonなものは転移。
・髄膜腫に特徴的と言われているdural tail signは様々な病変でみられる。
・atypical/malignant groupは benign groupよりもADC値が有意に低いとの報告あり。
(0.42-0.69×10-3mm2/s vs 0.72-1.5×10-3mm2/s)
→拡散強調像は両者の鑑別に有用な可能性がある。
これは、1.5T, 3Tのいずれでも同様の結果であった。
・治療)摘出術が基本。
・良悪性の別に関係なく再発することがある。
・悪性では高率に再発するため、術後放射線治療が必要。
結語 |
・頭蓋骨の溶骨性変化を伴う腫瘤で最もcommonなものは転移。
・溶骨性変化を伴っても、dural tail signがあれば、meningiomaを鑑別にあげる手がかりとなる。(ただし、非特異的)
・溶骨性変化および頭蓋骨外進展を伴うmeningiomaの場合、悪性の性格をもつ可能性が高く、
ADC値がatypical/malignantとbenignの鑑別の一助になりえる。
参考文献
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