仙骨形質細胞腫 sacral plasmacytoma |
画像所見 |
▼ 上段:造影前/造影後 平衡相 下段:骨条件/軟部条件 |
・仙骨内部を主体として骨破壊性に増殖する腫瘤。 ・腫瘤内部には淡い増強効果を認める。 |
▼ T1 Dixon in-phase 斜軸位断/T2WI 斜軸位断 |
・内部の信号はほぼ均一 ・T1WI:筋と等信号、T2WI:著明な低信号 |
▼ T1 Dixon in-phase 斜軸位断/T1 Dixon out-of-phase 斜軸位断 |
・T1 in-phase → out-of-phase で 信号低下なし。 |
▼ DWI b=1000 / ADC map |
・明らかな拡散低下なし。 |
▼ Gd造影後 脂肪抑制 T1WI 軸位断
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・腫瘤内部は著明に増強される。 |
画像所見のまとめ |
・CT:仙骨を主体とする骨破壊性の腫瘤
・MRI
T1WI:筋と等信号、Dixon法で脂肪信号なし
T2WI:著明な低信号
DWI/ADCmap:拡散低下なし
Gd造影T1WI:強い増強効果
他、原発巣となりうる腫瘤性病変は見られなかった。
鑑別診断 |
【仙骨由来のT2WI低信号を示す腫瘤】
・巨細胞修復性肉芽腫
・巨細胞腫
・アミロイドーマ
・形質細胞腫
・孤発性線維腫
・デスモイド
…などが鑑別に挙げられる。
経過 |
CTガイド下生検が施行された |
Hematoxylin-Eosin染色 | |
Hematoxylin-Eosin染色 | |
・細胞成分は乏しい。 ・HE染色で好酸性の基質の沈着を認めた。 |
Congo Red染色 ・Congo red染色で陽性。 ・偏光レンズで見ると青緑色の屈折光。 →沈着物はアミロイド |
Hematoxylin-Eosin染色 /
CD138 ・細胞成分はCD138染色陽性 →形質細胞由来 |
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κ鎖/λ鎖 ・細胞成分はκ鎖染色で陽性だが、λ鎖では陰性。 → モノクローナル(腫瘍性)に増殖している。 ・沈着したアミロイドもκ鎖染色陽性。 |
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最終診断
アミロイド沈着を伴った仙骨形質細胞腫
sacral plasmacytoma with amyloid deposition
形質細胞腫 |
・形質細胞が限局性に腫瘍性増殖したもの
・多発性骨髄腫の初期病変の1種とされている
・高齢発症:患者の70%が60歳以上
・2〜3:1で男性に多い
・好発部位:椎体 ← 赤色髄が豊富
・モノクローナルな血清免疫グロブリン産生が40%で見られる。
Rodallec MH, et al. Radiographics 2008; 28:1019–41.
【画像所見】 CT:溶骨性変化が優位 MRI T1WI:低信号 T2WI:高信号(脂肪と筋の中間信号) Gd造影:均一な増強効果 |
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Rodallec MH, et al. Radiographics 2008; 28:1019–41. Zhang Z, et al. Clin Oncol Cancer Res 2009; 6: 241-244. |
T2WIで低信号を示す形質細胞腫の特徴
・組織学的に細胞密度が高いと低信号を示す。
・放射線照射後
・照射後の線維化を反映していると考えられている。
・細胞密度が高いもの
いずれも今回の症例とは合致せず。→ T2WIで低信号を示したのは、アミロイドの沈着によるもの?
形質細胞腫のアミロイド沈着
形質細胞腫では腫瘍内にアミロイド沈着を来しうることが知られている。
形質細胞腫患者34例の検討では、うち9例に腫瘍内のアミロイド沈着が認められた。
Meis JM, et al. Cancer. 1987;59:1475–85.アミロイド沈着を伴った形質細胞腫のMRI所見に関する報告は、調べた限りでは見つけられなかった。
アミロイド沈着が顕著な形質細胞腫であれば、豊富な線維間質により、T2WIで低信号を示しうると考えられる。
結語 |
・T2WIで著明な低信号を示した仙骨形質細胞腫の1例を提示した。
・形質細胞腫は T2WI で高信号を示す腫瘍とされているが、アミロイド沈着により著明な低信号を示す場合がある。
参考文献
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