| Cobb 症候群 Cobb syndrome |
| 画像所見 |
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| ・大動脈は保たれており、左腰動脈の破裂と考えられる。血腫は左腸骨筋に沿って進展している。
・正中仙骨動脈にも異常な拡張が見られる（矢印）。 |
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| ・胸腰椎の脊柱管内に術後性変化を疑う石灰化あり。
・傍椎体部に異常に拡張した血管構造（静脈）あり。 ・左大腿部皮膚の肥厚と皮下に拡張脈管と連続する軟部影あり。 |
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| 上段：動脈相／下段：非造影 ・椎体血管腫を疑う異常造影増強効果を伴う骨破壊像あり（L5） ・脊柱管内に異常血管血管増生を認め脊髄血管奇形を疑う |
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・左鼠径部〜大腿全面皮膚〜皮下に 血管奇形を疑う異常な脈管拡張を認める。 ・Th12-L3脊柱管内に術後性変化あり |
| 画像のまとめ |
| ・左腰動脈瘤破裂による後腹膜血腫 ・正中仙骨動脈の異常拡張 ・Th12-L3レベル脊髄血管奇形疑い（術後） ・L5椎体血管腫 ・左鼠経部〜大腿部皮膚・皮下血管奇形 ・身体所見上、左鼠径部〜臀部に皮疹あり |
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【最終診断】
診断：
・左腰動脈瘤破裂
・正中仙骨動脈瘤
背景疾患：
・Cobb症候群（Spinal Arteriovenous Metameric Syndrome: SAMS）
| Cobb症候群 |
・1915年にHarvey Williams Cushing 門下のレジデントであった
Stanley Cobbが脊椎動静脈奇形＋同一体節部の血管奇形を合併した症例を報告した
・現在は、脊髄、硬膜、椎体骨、傍脊椎組織、筋肉、皮膚の血管奇形が同じ体節分布（metamere）に
認められる病態；Spinal Arteriovenous Metameric Syndrome（SAMS）の1病型としてとらえられている
Cobb S. Haemangioma of the spinal cord: associated with skin naevi of the same metamere. Ann Surg 1915; 62(6): 641-649.
Niimi Y, Uchiyama N, Elijovich L, et al. Spinal arteriovenous metameric syndrome: clinical manifestations and endovascular management. AJNR Am J Neuroradiol 2013; 34(2): 457-463.
発症機序
・発生過程で脊髄、硬膜、椎体骨、筋肉、皮膚は発生学的に体軸方向のunit である体節*ごとに形成され、
それが体軸方向につながって完成する
*脊髄に該当する部位では31分節（ 8C、12Th、 5L、 5S、1C）・この形成過程に何らかのイベントが発生すると、体節に沿った同一の病変を発症する
Niimi Y, Uchiyama N, Elijovich L, et al. Spinal arteriovenous metameric syndrome: clinical manifestations and endovascular management. AJNR Am J Neuroradiol 2013; 34(2): 457-463.
参考
・CAMS (cerebral-facial arteriovenous metameric syndrome)
・同一体節部の脳神経領域＋皮膚の血管奇形
・Sturge-Weber症候群など
・Bhattacharya JJ, Luo CB, Suh DC, et al: Wyburn-Mason or Bonnet-Dechaume-Blanc as cerebrofacial arteriovenous metameric syndrome (CAMS). A new concept and a new classification. Interventional Neuroradiol 7:5-17, 2001
・よくわかる脳MRI（第3版）
疫学・症候
・頻度：脊髄血管奇形の10％
・性差：やや男性優位
・神経症状の発症年齢：幼年〜青年期に多い
・家族歴：通常なし
・症状：脊髄血管奇形と同様（慢性進行性脊髄症）
・初発症状：根性疼痛、運動麻痺（対麻痺/単麻痺）
病変
同一/もしくは近接する体節の血管病変
・脊髄動静脈奇形
・椎体の血管腫
・皮膚の毛細血管奇形（port wine stain）・静脈奇形
＊皮膚病変はわずかな色調変化のみの場合もある
治療
・現時点で確立された治療法なし
・血管内治療が第一選択
・椎体や皮膚病変に関しては多くの場合、治療の必要性は少ない
・疼痛や脊柱管の変形などがある場合は治療の適応
非SAMS脊髄AVMとの相違点
・SAMS に伴う脊髄動静脈奇形は、くも膜下出血や脊髄内出血のリスクが高い
・治療後も50–54％に再出血をきたす予後不良の疾患
・SAMS に伴う脊髄動静脈奇形はnidus-type がfistula-type より明らかに多いことによる
| Take home message |
脊髄AVMを疑う所見を認めた際にはCobb症候群（SAMS）を想起し、体節を意識した皮膚所見を検索することが重要である
参考文献
- Cobb S. Haemangioma of the spinal cord: associated with skin naevi of the same metamere. Ann Surg 1915; 62(6): 641-649.
- Niimi Y, Uchiyama N, Elijovich L, et al. Spinal arteriovenous metameric syndrome: clinical manifestations and endovascular management. AJNR Am J Neuroradiol 2013; 34(2): 457-463.
- Clark MT, Brooks EL, Chong W, et al. Cobb syndrome: a case report and systematic review of the literature. Pediatr Neurol 2008; 39(6): 423-425.
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