血管内悪性リンパ腫 intravascular lymphoma |
画像所見のまとめ |
頭部:橋正中の結節病変 ・DWI:高信号(ADC map正常) ・FLAIR/T2WI:高信号 ・Gd-T1WI:増強(-) ・PET-CT:高度集積 |
胸部:両肺すりガラス影 ・肺門部寄り ・胸膜下はスペア ・一致した淡いFDG集積 |
鑑別診断 |
頭部病変 ・短期間でDWI/FLAIR信号上昇 ・血管障害(梗塞)は合致せず ・何らかの腫瘤、脱髄、炎症?? |
胸部病変 ・肺水腫:FDG集積は合致せず ・感染症:PCP/CMVなどは否定できない ・腫瘍性病変:リンパ腫を含め、鑑別になるがやや経過が早い |
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複数回、生検するも、診断に至らず 再度皮膚生検、肝生検施行にて、確定診断 |
最終診断
血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B cell lymphoma:IVL-BCL)
橋病変は、経時的に軽減 |
Discussion: IVL-BCL (intravascular large B cell lymphoma) |
・1959年 Pfleger, Tappeiner(dermatologist)
—皮膚生検で血管内腫瘍細胞浸潤を認めた1例の最初の報告
—悪性リンパ腫の1型:腫瘍B細胞が中小血管内腔で選択的増殖
・疫学:中高齢者(60-70歳)に好発、非ホジキンリンパ腫の0.1%
・臨床症状:多彩(腫瘍細胞が全身に浸潤するため)
—非特異的症状(発熱/倦怠感)、神経・皮膚症状
東洋人(多臓器浸潤)> 西洋人(神経・皮膚が主体)
—全経過で、中枢神経系罹患率は70-85%と高率
神経症状主体の場合、脳梗塞として治療開始される事も
(脳梗塞:くも膜下腔の血管内腫瘍細胞増殖により発症) |
・確定診断:組織学的に腫瘍細胞の存在を証明
—生検部位: 骨髄や皮膚が選択されやすい
ランダム皮膚生検の有用性:低侵襲
—1999年:剖検例。外観では健常な皮膚から腫瘍細胞を検出
—2003年:初の生前診断例
Pozoni M et al: Hum Pathol 2000
Gatter K et al: IARC Press 2001
Kraus M et al: Am J Med 1999
Gill S et al: Am J Med 2003
IVLの中枢神経病変とPET-CT:controversial
Kawai N et al: Case Rep Oncol 2012 —IVLの診断には不十分 —集積亢進見られず |
Yamada S et al: Arch Neurol 2010 —IVLの診断に有用 —2例で集積(但し、Gd増強部位に一致) |
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Take Home Message |
・橋中心部病変の血管内リンパ腫(IVL)の症例を呈示した。
—頭蓋内病変も含め、多彩な病変を呈しうる
・本症では確定診断がつきにくいため、複数回・多部位からの生検部位を考慮してもよい。
参考文献
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