胃粘液癌 mucinous carcinoma of the stomach |
胃上皮下腫瘍 |
粘膜下腫瘍と呼称される腫瘍の中には、実際には粘膜層や粘膜筋板にも病変が存在する場合がある。
このため、上皮下腫瘍(subepithelial tumor/lesion; SET/SEL)と呼ばれるようになっている。
Landi B,Best Pract Res Clin Gastroenterol,2009,23,679-701
入口 陽介,胃と腸,2023,58,599-600
画像所見
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Key Image(造影CT) |
・胃体部前壁の壁内腫瘤 |
Key Image (非造影MRI) |
T2WI/脂肪抑制T2WI/DWI/ADC map |
・腫瘤はT2WIで主に明瞭な高信号 ・T2WIでは小石灰化と思われる低信号が散在 |
Key Image(FDG-PET/CT) |
・腫瘤にFDGの集積なし |
Key Image(上部消化管造影) |
・腫瘤の立ち上がりが口側で急峻 ・腫瘤表面に結節状の凹凸、辺縁も不整 ・病変部以外で胃壁の進展性は保持 |
画像所見まとめ
・T2WI高信号成分を主体
・わずかな造影効果
・散在する石灰化
・FDGの集積に乏しい
・腫瘤の急峻な立ち上がりと表面の結節状の凹凸
鑑別 |
局在は上皮下(胃壁内)
上皮性腫瘍:粘液癌、管状腺癌、低分化腺癌…
非上皮性腫瘍:GIST、悪性リンパ腫、神経鞘腫…
最終診断
粘液癌
病理:mucinous adenocarcinoma pT3N0M0
粘液癌 |
概念:腫瘍細胞より生産された粘液が細胞外に貯留し粘液結節(粘液湖)を形成した癌のこと。
粘液結節内に腫瘍細胞が浮遊している。一部に石灰化を呈したり、粘膜下腫瘍様の形態を示すことがある。
頻度:切除された胃癌のうち約3%、平均年齢68.5歳、男女比1.6:1
進行癌では肉眼分類で1型が35%と非粘液癌に対して多い。
画像所見:超音波内視鏡:超音波では内部高輝度or低〜無輝度の多房性腫瘍の像を呈する。
造影CT :実質相で層状の造影効果を示す(粘液結節の造影効果は弱く、周囲の正常組織の造影効果は保たれるため)。
一部に石灰化を伴うことがある。
治療 :術前化学療法+手術
上堂文也,胃と腸,2003,10,1557-1561
深山正久,腫瘍病理鑑別診断アトラス胃癌第2版,2015
鈴木誠祐,Gastroentelogical Endoscopy,2004,46,22-26
Take Home Message |
・これまで粘膜下腫瘍としてきた病変の中には粘膜層や粘膜筋板に病変が存在する場合があり、上皮下腫瘍(SET/SEL)と呼ばれるようになっている。
・胃上皮下腫瘍を見た際には胃壁内に強い浸潤を示す上皮性腫瘍も鑑別に挙がることがある。
参考文献
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