| 肺小細胞癌の脊髄髄内転移 intramedullary spinal cord metastasis from small cell lung cancer |
【現病歴】
12 日前 右下肢痛が出現した。
8 日前から右下肢筋力低下を自覚し、6 日前にほぼ消失。 ←筋力が消失
1 日前 前医を受診. 画像検査で異常を指摘され、当院に紹介となった。
<運動>
上肢 筋力低下なし
下肢 右下肢の筋力低下あり.歩行不可。
Ilio. 0/3 Quad. 1/5 Ham. 1/4 Ant.Tib 0/5 Gastro. 1/5
排尿・排便障害を認める。
→ Brown-Séquard 症候群
| 画像所見 |
| ▼脊椎単純X線 |
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| L1椎体に圧迫骨折 |
| ▼矢状断MRI T2強調画像/STIR像/造影後T1強調画像 |
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L1椎体に圧迫骨折があり、骨髄浮腫を伴っている。 |
| ▼MRI(病変部拡大) 矢状断/T1強調画像/T2強調画像/造影後T1強調画像 軸位断/T1強調画像/T2強調画像/造影後T1強調画像 |
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| 結節状の部分は脊髄中心に存在している.結節を取り囲むような増強効果や上下に延びるような増強効果を認める。 |
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・L1椎体に圧迫骨折, 上終板に沿った増強効果。新鮮な骨折と考えられるが、症状との関連は低そう。
・Th8 レベル以下の脊髄中心に長いT2WI高信号域。広範な脊髄浮腫 (空洞や嚢胞ではない)
・Th12 レベルの脊髄中心部に結節性病変 強い増強効果を示す。
脊髄中心髄内腫瘍. 症状の責任病変を疑う。
結節辺縁に比較的強い造影効果を持つ。
結節の上下に延びるような造影効果も認められる。
| ▼T2強調画像 |
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| 左副腎に結節を認める。 |
| 鑑別診断 |
脊髄中心性に生じ, 造影効果を有する髄内腫瘍
・転移性脊髄腫瘍 + 副腎、肺(or縦隔)に結節
・上衣腫
・星細胞腫
・(血管芽腫)
→ 原発巣の検索, 腫瘍マーカーの検査を依頼
来院後経過
症状緩和および生検目的に, 腫瘍摘出術を実施。
病理所見
High-gradeな神経内分泌腫瘍の転移。
| 追加検査 |
| ▼造影CT |
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| 左肺S1+2に小結節があり, 縦隔リンパ節腫大を伴う。 |
| 腫瘍マーカー | 正常範囲 | ||
| CEA CA19-9 CYFRA ProGRP SCC |
21.0 53.1 1.7 1563.0 0.6 |
ng/ml U/ml ng/ml pg/ml ng/ml |
≦4.8 ≦ 35.4 ≦ 2.1 ≦74.7 ≦1.5 |
最終診断
転移性脊髄腫瘍(肺小細胞癌の転移)
| 転移性脊髄腫瘍(脊髄内転移) |
・脊髄腫瘍全体の0.6%、髄内腫瘍の2-3%。
・原発巣は肺癌が最多(約半数)次いで乳癌が多い。他に悪性黒色腫、腎癌、結腸癌、リンパ腫など。
・肺癌の中では小細胞癌が多く、剖検で肺小細胞癌の5.4%、腺癌の1.5%、扁平上皮癌の0.6%で脊髄転移が認められる。
臨床像
・大半は原発巣の知られた担癌患者に生じるが、脊髄症状初発の例も報告がある。
・症状は筋力低下、知覚異常、疼痛、膀胱直腸障害が代表的。無症候性のこともある。Brown-Séquard 症候群は19%に認める。
・61%の症例で脳転移を, 64%の症例で中枢神経以外への転移を合併する。
・診断からの全生存期間中央値は4か月で、予後不良。
転移性脊髄腫瘍の画像的特徴
・Gd造影剤で増強効果を示す。
・腫瘍辺縁に沿う強い造影効果(rim sign)、病変上下の火焔状造影域(flame sign)は特異的所見。
・時に脊髄浮腫を伴う。浮腫が広い(3椎体以上)症例は予後が悪い。
Wen-Shan Sung et al. World Neurosurgery 2013;79:576-584
Okamoto H et al. Cancer 1993;72:2583-2588
Pierfrancesco Lapolla et al. Brain sci. 2021;11:1124
J.B.Rykken et al. AJNR Am.J.Neuroradiol. 2013;34:908-915
F.E. Diehn et al. AJNR Am.J.Neuroradiol. 2015;36:587-593
| 本症例の画像 |
| 広範な脊髄浮腫 (→)Rim sign(→), Flame sign(→) |
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| 鑑別疾患 |
造影効果を有する脊髄腫瘍は多数鑑別に挙がる。
【鑑別ポイント】
・造影MRIで Rim sign, Flame sign. 髄内腫瘍で2つとも所見(+)の場合、特異度が高い。
・脊髄空洞症や嚢胞の合併は稀。
・脳転移や脊髄外の転移巣の存在。
J.B.Rykken et AJNR al. Am.J.Neuroradiol. 2013;34:908-915
柳下 章 エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第3版
| Take Home Message |
・稀な転移性脊髄腫瘍の一例を経験した。
・転移性脊髄腫瘍の診断には造影MRIでのRim sign, Flame sign が有用で、両方認められる場合は積極的に脊髄転移を疑う。
・読影の際には、標的臓器以外の所見にも注意する。
参考文献
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