慢性膨脹性血腫 chronic expanding hematoma |
画像所見 |
【T2WI 矢状断像
】
・前立腺や膀胱との境界は保たれている…由来は?
・骨盤内の境界明瞭な腫瘤
・内部は低信号域と高信号域が混在しモザイク状
・低信号の被膜
【T1WI 冠状断像】
・内部の大部分は低信号
・一部高信号域を含む
【fsT1WI dynamic 軸位断像
】
・大部分は造影されない
・辺縁部にのみ増強効果あり
【DWI/T2WI /fsT1WI dynamic 90s】
・増強効果を示す領域はT2WI、DWIで高信号
造影CT |
術前診断
・GIST?
・肉腫?
・器質化血腫?
経直腸的に生検が行われたが、出血変性した組織のみで検体内に腫瘍細胞は認められなかった。
・腫瘤は直腸、小腸を巻き込んでおり、腸管を合併切除 |
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・線維被膜をもち、辺縁部には拡張した血管の増生と肉芽組織 |
異物を貪食した細胞もみられた。
↓ 病理診断: 過去に手術操作が加わったと思われる部位に存在する器質化血腫 |
Chronic expanding hematoma |
・1980年 Reidらが1ヶ月以上に渡り増大する血腫と報告。
・外傷や手術により生じた血腫が吸収されずに、血球の破壊産物が炎症を惹起。
↓
・血管透過性の亢進した新生血管から血液が漏出し、徐々に増大する。
・外傷や手術後数年〜数十年を経て発見される。(報告例:片肺全摘後40年、骨折術後25年、帝王切開後46年など)
・腫瘤の触知や、隣接臓器の圧排による症状を契機に発見される。
・切除後の再発はほとんどない。
画像所見
【MRI】
2つの異なる成分が混在するのが特徴で、T2WIではmosaic patternを示す。
・新鮮出血:主に辺縁部に分布。T2WI比較的高信号〜中等度信号、DWI高信号、造影効果を示すことが多い。
・陳旧性出血:中心部を占める。T2WI低信号、DWI低信号、造影効果は認めない。
【CT】
・境界明瞭な腫瘤。
・被膜を有することが多い。
・内部は不均一で、石灰化を伴うこともある。
・腫瘤辺縁部に造影効果を認めることが多い。
【悪性腫瘍との鑑別】
・造影効果を示す充実成分に乏しい。
・T2WIでmosaic状の内部信号。
・ADC値に有意差との報告。
・生検で出血成分しか検出されない。
参考文献
1) Reid JD et al. JAMA 1980;244:2441-2442
2) Sakurai J et al. Magn Reson Med Sci 2010;9:81-84
3) G.L.Hwang et al. AJR 2003;180:1182-1183
4) Oka K et al. J Magn Reson Imaging 2008;28:1195-1200
5) 熊谷謙治ら. 整形外科と災害外科 2001;50:224-228
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