IgG4 関連疾患 IgG4-related disease |
画像所見まとめ |
・蝶形骨洞の粘膜肥厚、軟部影
・病変近傍の骨の脱灰化、骨辺縁は整
・鞍上部左上方に突出する腫瘤が出現
・約6週間という短期間で急激に増悪
全身CTにて全身のその他の部位に腫瘤性病変は認めず
鑑別疾患:副鼻腔の粘膜増殖性病変 |
・真菌性副鼻腔炎 →培養は陰性、β-Dグルカン陰性
・副鼻腔結核 →Tスポット陰性、培養陰性
・悪性リンパ腫 →リンパ節腫大、肝脾腫は認めず
・血球貪食症候群 →発熱、脾腫、血球減少なし
・Wegener肉芽腫 →肺・腎・血管炎の症状なし、PR3-ANCA陰性
・IgG4関連疾患 →血清IgG4は陰性
・サルコイドーシス →副鼻腔病変>眼病変主体
・副鼻腔癌:扁平上皮、乳頭癌、未分化肉腫
経過
脳外科にて、経鼻的に腫瘤性病変を摘出した。
病理所見 |
リンパ球,形質細胞などの著名な炎症細胞浸潤および線維化を認めた。
免疫染色では、IgG4陽性細胞を多く認めた。
診断 :IgG4関連疾患
IgG4関連疾患包括診断基準 |
1.臨床的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認める。
2.血液学的に高IgG4 血症(135 mg/dl以上)を認める。
3.病理組織学的に以下の2つを認める。
➀組織所見:著明なリンパ球、形質細胞の浸潤と線維化を認める。
➁IgG4 陽性形質細胞浸潤:IgG4/IgG陽性細胞比40%以上、かつIgG4 陽性形質細胞が10/HPFを超える。
上記のうち、
1)+2)+3)を満たすものを確定診断群(definite)、
1)+3)を満たすものを準確診群(probable)、
1)+2)のみをみたすものを疑診群(possible)とする。※難病情報センター ホームページより
その後の経過
ステロイド投与により、症状は経時的に改善。
視力障害(左側)は残存しているものの、ステロイドを徐々に減量中だが、症状の再燃は認めない。
参考文献
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